2017年04月19日

歯科衛生士専門学校実習生の不安軽減のための介入研究

 日帰りで大阪出張。朝は濃霧で大分空港が閉鎖。なんとか遅れないで大阪歯科大学歯科衛生士専門学校に到着。
 長年、専門学校の先生と行っている臨床実習に対する学生の不安に関する研究の1つ。今日は大分大学福祉健康科学部心理学コースの岩野卓先生に臨床実習直前の3年生に「不安とのつきあい方」についてお話をしていただいいたり、グループディスカッションをしたり。

1.学生へのフォーカスグループインタビューによる教育改善(2007年〜2009年)

 複数の学年に対し2年生の臨床実習の見学実習終了時、3年生の臨床実習終了時、および就職後1年目に継続的な聞き取り調査を行うことで、教育改善とその効果について検討してきました。教育改善効果は証明できたのですが、教育改善後も依然として実習開始直後の不安が学生によって語られました。


2.心理検査による不安の変化の検討(2013年〜2015年)

 2年生の見学実習前、3年生の実習前、実習中中期、実習終了後に心理検査を行うことで、不安の追跡調査しました。また、心理的支援が必要な不安の強い学生をスクリーニングするために、学生の性格特性やストレスコーピング特性との関連について調べました。不安は3年生の実習前が一番強く徐々に弱くなるのですが、神経症傾向のある学生は臨床実習中期でもまだ不安が強い状態でした。


3.臨床心理士による集団介入(2017年)

 今年は臨床実習での不安とつきあいながら実習効果があがるように、臨床実習開始直前の3年生に臨床心理士による集団介入。後期までに3回の介入を予定しています。今までよりも、うまく不安とつきあうことができたらいいのですが。
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2017年04月12日

口腔がん患者の心理社会的ニーズとQOL

 医療ソーシャルワーカーとして口腔がんの人をどのような支援する必要があるのかを考えるために、先行研究から口腔がん患者が抱える特有の心理社会問題を整理しました。

1.がん施策の推移
2.病状告知とQOL
3.口腔がん患者のQOL
4.口腔機能障害と社会的問題
5.高齢者口腔がん患者の地域包括ケア

4.口腔機能障害と社会的問題
 外科手術では咀嚼障害,摂食嚥下障害や構音障害などの口腔機能障害や顔貌の変形をきたします。口腔機能障害や顔貌の変形は、日常生活に影響するだけではなく社会関係に影響することもあります。特に構音障害は仕事に影響することも多く、他の部位のがんに比べて口腔がんの人の離職率が高くなっています。

5.高齢者口腔がん患者の地域包括ケア
 口腔がん患者の60歳以上が66.8%を占めています。高齢者の治療の選択には,手術による合併症のリスクや廃用症候群のリスク,快復力の減退など身体的要因以外にも,家族の協力体制や経済状態に考慮する必要があるといわれています。高齢や認知症などのために口腔内や食事の自己管理が困難になることも多く、摂食嚥下機能低下に合わせた調理や,交通が不便な病院への送迎など,日常生活で家族の協力が必要となります。交通等の社会的要因が受診の遅れや術後管理に影響するという報告もあります。また、食べることに制限が加わったことで,一人暮らしの高齢者が社会的孤独となり,自殺の要因の1つとなったケースも報告されています。
 このように高齢者の口腔がん治療では医療的な管理に加え,介護体制を構築することで安定した在宅療養生活を送ることができるような支援が必要となります。

 今回使用した医療的研究論文でも心理社会問題が数多く取り上げられていました。口腔がん特有の問題が日常生活や社会的関係に大きく影響していることから,医療ソーシャルワーカーによる支援が必要となります。今後、歯科専門職を始め医療職ソーシャルワーカーを含めた多職種による連携体制をどのように行うことができるのかを検討していく必要があると思います。

(「口腔がん患者の心理社会的ニーズとQOL」『福祉社会科学』8号より)

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2017年03月29日

口腔から考える保健・医療・福祉

 介護施設での窒息死への賠償責任のニュースを見て、新潟大学にいたときの特別養護老人ホームでの聞き取り調査を思い出しました。「食事の変更の判断を介護職が行わなければいけない。でも、評価方法わからない」という悩みや、「できるだけ口から食べさせたい」という家族の思いと「誤嚥性肺炎を繰り返す」という葛藤が語られていました。

「パンちぎって提供すべき」介護老人施設に約4000万円賠償判決

 鹿児島県姶良市の介護老人施設で、パンを食べて意識不明となった80歳の男性とその家族が、パンを小さくちぎって提供しなかった施設側に責任があるなどとして、損害賠償を求めていた裁判で、鹿児島地裁は28日、施設側に4000万円あまりの賠償を命じる判決を言い渡しました。訴えを起こしていたのは、姶良市の介護老人施設・青雲荘を利用していた80歳の男性とその家族です。男性は2014年1月に施設で出されたロールパンを食べた後、心肺停止状態となり、現在も意識不明となっています。男性と家族側は「飲み込む力が弱っているので、パンを小さくちぎるよう検討すべきだった」などとして、施設側にあわせて4800万円あまりの、損害賠償を求めていました。鹿児島地裁の鎌野真敬裁判長は28日の裁判で、「パンをそのまま提供したことが窒息の原因。施設は小さくちぎって提供する義務があった」などとして、施設側にあわせて4000万円あまりの賠償を命じる判決を言い渡しました。判決を受け施設を経営する青雲会は「コメントできない」としています。
(NBC南日本ニュースより複写 2017.3.28)

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教養科目で「口腔から考える保健・医療・福祉」を開講しています。
 家族として、福祉職として、口腔機能が低下した人の安全な食事介助の方法を知ることや「専門職に相談しなければいけない」と判断をする目をもってほしいなと思いでこの授業を行っています。また、口腔ケアはむし歯の予防や歯周疾患の予防だけではなく誤嚥性肺炎の予防に重要なことや、歯科疾患の予防やかむことが認知症をはじめ様々な全身疾患の予防につながることなどを知り、歯科専門職と連携する大切さを多くの未来の福祉専門職達に伝えたいと思っています。



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2017年03月19日

「臼杵市の認知症を考える会」世話人会

 先週、初めて「臼杵市の認知症を考える会」世話人会に出席しました。
 臼杵市は大学病院と地域の医師会、行政が連携して認知症予防の地域づくりをしています。大分大学医学部神経内科の木村成志先生にご一緒させていただきました。会議には臼杵市の認知症を考える会の会長や、臼杵市の医師会や歯科医師会、行政、地域包括支援センターの担当者、保健師など多くの方が参加され、とても前向きな意見交換が行われていました。

 1月には木村先生が中心に行われている認知症の集団検診に参加させていただいたのですが、歯科に関する検診内容がないことが残念だなと思っていました。世話人会には歯科医師会の先生も参加。臼杵市の歯科医師会の先生とご一緒に何かを始めそうです。(仕事を自分でこれ以上増やさないつもりだったのですが…)

 19時からの会議なので会議の前に臼杵市で夕食。お店は大学院生からの情報で選択。
店員さんの「レースケが旬ですよ」の一言で、レースケ定食にしました。注文してから調べていたら、標準和名「クロアナゴ」。臼杵市では漁師さんの花見に欠かせない魚だとか。初めて食べたのですが、コリコリとしておいしかったです。


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2017年03月17日

口腔がん患者の心理社会的問題

 4ヶ月ぶりの新潟。朝6時30分のバスで空港へ。大分ー伊丹ー新潟。25分で乗り継いでお昼には新潟へ到着予定。それなのに…。大分の出発遅れのアナウンス。上空で前の席に移動。ヒヤヒヤでしたが無事乗り継いで、13時には新潟大学へ到着できました。

 今回の目的は、口腔がんの患者さんやご家族への聞き取り調査。医療ソーシャルワーカーとして、口腔がんの患者さんにどのような支援ができるのかを考えることが研究の目的です。
 口腔がんは一般的ながんと同様の問題点とともに特有の問題生じます。摂食嚥下機能障害や咀嚼障害、構音機能障害などの口腔機能障害や顔貌の変形が心理的苦痛や社会関係に影響します。また、他のがんと比べて離職率が高いなど生活への影響もあります。

第1弾の研究の報告書が勇美記念財団のHPにUPされています。

新潟



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