2021年03月07日

フレイル・オーラルフレイル

なつかしい「社会問題研究」に論文を投稿しました。

「フィットネスクラブ高齢者会員の身体機能と口腔機能評価」
2019年度から実施している科研費の研究の一部です。

同じ市の地域住民への調査も実施しています。
これからフィットネスクラブ会員と地域住民の比較の分析をする予定です。

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要旨
 フィットネスクラブ(FC)会員の身体機能と口腔機能の評価を行い、フレイル予防の現状を明らかにすることを目的とした。2019年度に2つの市の65歳以上のFC会員に、郵送による質問紙調査(278名)と、身体機能評価と口腔機能評価(89名)を行った。
 質問票によるフレイルとプレフレイルの割合は、地域高齢者とほぼ同じであった。FCに通い始めた動機は「健康維持」が75.9%であったことから、体力低下を感じたことで、FCに通い始めたということが推察できる。身体機能評価では歩行速度、CS5、TUGでは基準値以下はなかったが、指輪っかテストでは23.9%に筋肉量の低下が疑われた。口腔機能評価では、約1割に嚥下機能低下と咀嚼機能に低下があった。舌口唇運動機能は伊興田らの調査の3.8倍の低下があった。オーラルフレイルの高齢者が身体的フレイルや要介護状態になる可能性が高いため、FC会員は運動に加え口腔機能向上の取り組みが必要だと考える。

しばらくしたら、大阪府立大学の学術情報リポジトリから全文読んでいただけるようになると思います。
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2019年11月24日

歯科審美学

歯科審美学』(日本歯科審美学会編集)は認定医・認定士、ホワイトニングコーディネータをの資格取得をめざす人材に向けた学習テキストです。変色歯がもたらす心理的抑圧による心理面や社会面に影響をに概説しました。また、審美歯科治療がその人の人生にもたらす影響について執筆しました。

 福島正義先生(元新潟大学医歯学総合研究科口腔生命福祉学分)とのこれまでの共同研究を発表したことで、執筆の機会をいただきました。福島先生が審美歯科治療をされメンテナンスに通われている方で、治療後7〜21年経過した方にお話をお伺いしました。小学校のころに変色歯が原因でからかわれた経験や他の人の視線などが心理的な抑圧となり性格にも影響していました。そして、その方々にとって審美歯科治療は「心理的抑圧からの解放」であり、自尊心の改善につながっていました。
そのことを、認定医をめざす先生に知ってもらいたいという思いで執筆しました。

詳しくは2018年のBLOGをご覧下さい。

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2019年11月06日

倫理生命とソーシャルワーク

ソーシャルワーク研究の特集「生命倫理とソーシャルワーク」の特集論文が掲載されました。


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依頼されたテーマは「医療現場における生命倫理―難病・がん患者の自己決定支援」
告知・医療処置の自己決定・終末期医療の自己決定について執筆しました。

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posted by yoshimi at 13:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 研究

2018年10月02日

九州・山口 口腔ケアシンポジウム in別府


九州・山口 口腔ケアシンポジウムin別府
シンポジウム「在宅医療の最前線〜在宅がん医療を多職種で考える〜」のシンポジストとして発表する機会をいただきました。

「質的研究による口腔がん患者へ心理社会的ニーズの明確化 〜口腔機能障害による生活支援の課題〜」

(抄録)
2012年のがん対策基本法の改正により、「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」が目標に追加され、治療から生活、社会へと施策の対象範囲が広がった。しかし、口腔がん患者の生活支援や心理社会的支援に関する研究が多いとはいい難い。
 我々が行った質的研究では、口腔がんは一般的ながんと同様の問題点とともに特有の問題が生じていた。特有の問題として、摂食嚥下機能低下により日常生活に制限が生じたり、友人との食事を避けるなど社会的関係が減少している人もいた。構音機能障害では聞き返される経験が精神的苦痛となったり、社会的関係に影響していた。また、口腔がん患者は他のがんよりも離職率が高いという報告もある。しかし、仕事を継続している人にとって、がんのことを忘れる時間となっていた。
歯科専門職と福祉職の連携し、口腔がん患者への生活支援体制を構築することが急務だと考える。

スライドの一部抜粋


表紙.JPG

口腔・咽頭がんは全がんの2%
他のがんと同じ問題以外にも、口腔機能障害により口腔がん特有の問題があります。

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口腔・咽頭がんの10年相対生存率は53.6%。
口腔がんの後遺症とともに「生きる」ことを支援する必要があります。

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口腔がんの方への質的研究(現在論文を投稿中)
話すこと、食べることの障害により社会関係が減少していました。

StageV、Wの口腔がんの人の53%が離職しています。
がんの就労支援は、MSWにとって大切な仕事の1つです。

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2018年03月29日

テトラサイクリン変色歯の審美歯科治療が患者の人生に与える影響

歯科審美学会に論文が掲載されました。この研究は変色歯と審美歯科治療がその人の性格や人生にどのような影響を与えたかを明らかにすることが目的でした。

 私と 福島正義教授(新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔保健学分野)のコンセプトは、歯科専門職は口の中だけではなく、「その人の人生も考えて治療やケアをしなければいけない」ということです。審美歯科治療終了後7 年〜29年経過した方にお話をお伺いすることができました。これだけ治療後の経過が長い人に、小学生時代からの変色歯に関係する「人生」を語って頂くのは、福島教授とご一緒でなければできない研究です。


*審美歯科治療とは

「歯科審美学とは、顎口腔系における形態美・色彩美・機能美の調和を図り、人々の幸福に貢献する歯科医療のための教育および学習に関する学問体系である」と日本歯科審美学会教授要綱に定められています。歯を白くするだけではなく、機能改善のための歯列矯正やインプラントなども含まれています。また、「歯科審美と心」について教授要綱に記載されています。

*テトラサイクリン変色とは

永久歯が形成されている時期に大量のテトラサイクリン系の抗生物質を服用すると、萌出した永久歯が灰色や茶色っぽくなります。

*17年間の問診表531名分の分析より(私たちの先行研究)

 1992年2月から2009年9月までの17年間に、歯の変色を主訴に新潟大学医歯学総合病院歯科の変色歯外来を受診した患者531名の問診票を分析しました。テトラサイクリン変色の患者の86%が、性格形成に重要な小学校低学年から中学校の時期に変色歯が気になり始め、約6割が変色で嫌な経験をしていました1)。永久歯が萌出するのはだいたい6歳〜12歳です。歯の色が黒いことでからかわれたり、指摘されたりしていました。会話の時には、常に口元に視線を感じていました。そのような変色歯に対する他者の反応が患者の行動や心理、性格などに影響していました2)

1)大橋乃梨子, 福島正義: 歯の変色が患者の心理に与える影響−第1報 変色歯外来初診時アンケートの集計, 歯科審美, 23,92-98, 2011.

2)隅田好美, 福島正義: 歯の変色が患者の心理に与える影響―第2報 変色歯外来問診票における自由記述の質的分析, 歯科審美, 27, 14-20, 2014.

*テトラサイクリン変色歯の審美歯科治療が患者の人生に与える影響

【研究目的】本研究の目的は変色歯による心理抑圧プロセス明らかにし、変色歯治療により患者の人生のその後にどのような影響を与えたのかを明らかにすることである。

【研究対象者】新潟大学病院歯科の変色歯外来でテトラサイクリン変色のためにラミネートベニア修復を行った患者である。研究対象者は女性患者8名で、術後7年から27年であった。

【研究方法】質的研究により、「心理抑圧プロセスと審美歯科治療による変化」と「人生に対する治療の位置づけ」について検討した。

【結果】変色歯による心理的抑圧プロセスは、他者との相互作用のなかで生じていた。他者からの指摘に対して口を隠す行動をとるとともに、自尊心が低下することで消極的になり、社会関係にも影響していた。変色歯治療後の大きな変化は手に入らないものが手に入ったことと負担・抑制からの解放であった。

【考察】負担・抑制からの解放により、自然な自分・本当の自分になったと感じていた。これは変色歯治療により自己認識や自尊心が改善したためと推察された。



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              昨年の学会発表時の写真




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