初めての編著「よくわかる地域包括ケア」(ミネルヴァ書房)が出版されました。
一昨年の社会福祉学会で執筆依頼があり、恩師の黒田研二先生(関西大学人間健康学部教授)と編集作業を始めました。その後、藤井博志先生(関西学院大学人間福祉学部教授)にも編者に加わっていただきました。
−この本の特徴(はじめにより)−
1.保健・医療・福祉の多彩な分野の専門職が執筆
保健・医療・福祉の多職種が連携するためには、他の専門職の専門性を理解することが大切です。この本を通して、ご自分とは異なる専門職の視点を理解してほしいと考えています。そして、ご自分の専門分野の支援の幅を広げて下さい。
2.ご自分とは異なる専門職の視点を理解
各テーマについて医療分野の執筆者は福祉を学んでいる人が理解できるように、福祉分野の執筆者は医療を学んでいる人が理解できるようにというコンセプトで執筆しています。
3.やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズの特徴
1つのテーマを2ページまたは4ページで記載し、それぞれのテーマごとに完結した内容になっています。最初から通読するだけではなく、必要なところを読むという利用方法もあります。実践現場で悩んだときには、自分とは異なる専門職の視点で執筆された内容に目を通してみてください。何か考えるヒントが見えてくるかもしれません。
−私自身の思い−
1.医療職・福祉職をめざす学生が、自分がめざす専門分野の専門職の視点を理解できるように。また、他の専門職の視点が理解できるように。
大分大学福祉健康科学部の講義「地域包括ケア概論」(理学療法コース、社会福祉実践コース、心理学コース2年生必修)をイメージして編集しました。
本学部の衣笠一茂学部長を始め、複数の教員が執筆しています。3コースの学生に教えているからこそ、福祉を学んでいる学生に伝えたい医学的知識、医学を学んでいる学生に伝えたい福祉の知識が執筆できたと思います。また、他の執筆者にもそのことに配慮して執筆していただくようにお願いしました。
2.支援のときの他職種の視点
社会福祉をめざす学生への講義では、医学的知識が必要だと感じることが多くありました。また、歯科衛生士をめざす学生には、患者さんや家族の生活を視野に入れた支援ができるようにと社会福祉の考え方を伝えてきました。この本では、それぞれの専門職の視点も学んでもらいたいと考えています。
その経験から本書では認知症、脳卒中、難病、がんの人を支えるために支援について、医師、看護師、歯科専門職、リハビリテーション専門職、社会福祉士、介護職がどのような視点で支援をしているのかを各専門職が執筆を依頼しました。
3.歯科専門職(歯科医師・歯科衛生士)の視点
介護予防や誤嚥性肺炎など口腔機能や口腔ケアの重要性は、多くの専門職で認識されています。しかし、福祉職が手に取る地域包括ケアの本では、ほとんど述べられていません。是非、福祉の視点からも口腔について考えて欲しいと思い、歯科専門職に執筆を依頼しました。